鹿目まどかは、見滝原中学校の2年生として平凡に過ごしていたが、ある夜天変地異の中、魔法を用いて怪物と戦う少女を目撃し、謎の白い生物から「僕と契約して、魔法少女になってほしい」と告げられる夢を見る。翌朝、見滝原中学へ転校してきたのは、夢で見た美少女暁美ほむらだった。ほむらはなぜかまどかのことを良く知っており、「魔法少女になってはならない」と警告する。
放課後、親友の美樹さやかと寄り道したまどかは、謎の声に導かれてビルの一角へ迷い込み、夢の中で見た生物・キュゥべえと、それを殺そうとするほむらに出くわす。まどかとさやかは戸惑いつつも、傷付いたキュゥべえを助けるが、直後に異世界へ迷い込んでしまう。魔女の使い魔だという化物たちに囲まれた2人を救ったのは、同じ中学の3年生でキュゥべえと契約した魔法少女の巴マミだった。
マミに救われたまどかとさやかは、キュゥべえに「僕と契約して魔法少女になってよ」と告げられる。契約と同時にどんな願いも叶うことを知った2人は、夢のような好機に興奮するが、魔法少女は人の世に仇なす魔女を倒す戦いを続けていかなければならないため、その厳しさを知るマミからは慎重な判断をするよう忠告される。2人は人々の安全のために戦い続けるマミと接することで、魔法少女になることに強い憧れを抱くが、間もなくマミは魔女との戦いに敗れ、惨たらしい最期を遂げてしまう。過酷な現実を突き付けられたまどかの魔法少女に対する想いが揺らぐ一方で、さやかは想いを寄せる幼馴染の上条恭介の怪我を治すために、キュゥべえと契約し魔法少女となった。
マミがいなくなった見滝原に、すぐ別の魔法少女・佐倉杏子がやってくる。彼女はマミとは対照的に、自分のためだけに魔女を倒し、自分の利益のためには一般人の犠牲も厭わない利己主義者で、それに反発するさやかとの間に諍いが生じる。まどかは2人の諍いを止めようとするが、その際の突発的な行動により、はからずも魔法少女の魔力の源としか思われなかった「ソウルジェム」が、実は少女から分離された魂を収めた器であり、魔法少女の肉体は魂を引き抜かれて異質なものに変質していることが明かされる。
自らの身体の変質に嫌悪感を抱いたさやかは、折しも友人の志筑仁美もまた恭介に好意を抱いていることを知らされ、自己嫌悪に値する嫉妬や、恭介に対する自分の想いが叶えられるべきではないという葛藤で心をすり減らしていく。それでも他人のために戦うという信念を貫こうと無茶な戦いに身を投じるさやかの姿に、杏子は過去の自分を重ね、破滅へと向かうさやかに心を寄せていく。そんな杏子の想いとは裏腹に、悪い状況や心のすれ違いで自分や人間に対する失望を重ねたさやかは魔女と化し、魔女が絶望した魔法少女の成れの果てであるという事実も明らかになる。杏子はさやかを元に戻そうと魔女化したさやかに必死に呼び掛けるが、思い叶わず魔女化したさやかと共に命を落とす。
キュゥべえの正体はインキュベーターと呼ばれる地球外生命体の端末であり、魔法少女が魔女となることは彼らによって仕組まれたことであった。その真意を問いただすまどかに対し、キュゥべえは自分たちの目的を、宇宙の寿命を延ばすために熱力学第二法則に縛られないエネルギーを採取するためであると語り、自分たちが発明した「感情をエネルギーに変える技術」を用いることで、魔法少女となった第二次性徴期の少女たちが絶望し魔女となる際に発生する、莫大なエネルギーを回収できるのだと説明する。まどかはキュゥべえへの不信を露わにし、真意を伏せて少女たちと契約を結んできたことを「騙してきた」と非難するが、感情を理解しないキュゥべえは、見解の相違によって生じた齟齬について一方的に責められることの方が理不尽であるとし、地球人を含む宇宙全体の公益のため、まどかの自己犠牲を期待する旨を告げて去る。
一方、それまでは謎に包まれてきたほむらの素性や目的も明らかにされていく。彼女は異なる時間軸からやってきた時間遡行者であり、元の時間軸において初めて得た友人であり、大災害をもたらす最強の魔女「ワルプルギスの夜」に殺されてしまったまどかが助かる未来への道筋を求めて、同じ時間の平行世界を繰り返し戦い続けてきたのであった。最善に思えた方法が失敗し、望まない未来に突き当たるたびに同じ時間を繰り返すほむらは、まどかの存在を拠り所としていたが、結果としてそれはいくつもの平行世界における因果の糸をまどかの存在へと束ね、まどかに最強の魔法少女にして最悪の魔女となる素質を与えることに繋がり、ほむらを手詰まりへと追い込んでいた。
キュゥべえにインキュベーターと魔法少女の歴史[注 10]を聞かされたまどかは、見滝原に襲来したワルプルギスの夜に1人で立ち向かい倒れたほむらを前に、一つの願いを携えてついにキュゥべえと契約することを決意する。そして告げられたまどかの願いとは「過去、現在、未来、全宇宙に存在する全ての魔女を生まれる前に自分の手で消し去ること」であり、魔法少女が溜め込む呪いや穢れの全てを破壊するというものであった。それは時間への干渉を超えた物理法則の改変、すなわち因果律を組み替えるという神の御業にも等しい願いであり、それを聞いたキュゥべえを動揺させる。しかし時間遡行を繰り返してきたほむらの行為により、まどかはこの願いを背負い実現できる途方もない素質を持つに至っており、願いは成就される。
まどかの願いにより、宇宙は新たな因果の元に再構築された。まどか自身は人としての存在を失い、未来永劫魔女を生み出さないための概念として昇華するが、時間を超える能力を持つほむらだけがその過程を見届ける事となる。やがて時空を超えて遍在する概念と化し、すべての時代と世界を見る事ができるようになったまどかは、いくつもの並行世界を渡り歩いてきたほむらの労苦と友情を知ったことにより、存在を失う結末に至るまどかの願いに否定的なほむらに心からの感謝と親愛の言葉をかける。そして、最後の奇跡として互いの記憶が残る事を願い、自らのリボンをほむらに託し、まどかはほむらの前から姿を消す。
新たに構成された世界では、人の世の呪いが魔獣という存在となって人々を狙っていた。魔法少女が魔女になることはなくなり、力を使い果たした際は心安らかなままソウルジェムとともに消滅し、その魂はまどかの導きで別の宇宙へと転送されるというシステムに変化していた[81]。キュゥべえのエネルギー採取も別の方法になっており、以前の世界で戦死したマミ、杏子も存命しているが[注 11]、まどかの存在は彼女の家族を含む人々の記憶から消えていた。以前の世界の記憶を持つ唯一の存在となったほむらは、まどかの救った世界を守るべく、他の魔法少女たちと共に戦い続けるのだった。
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